第二次大戦中のドイツ将校の心意気

第二次大戦中のドイツ将校の心意気

第二次大戦中のドイツ将校の心意気

秀逸なゴルフ・エッセイを残した夏坂健さんは、第二次世界大戦さなかのゴルフに関するエピソードも数多く書かれています。

どれも感動的な話ばかりですが、そのうちのひとつが「ゴルファーを笑え!」に収められている「オランダのゴルフを救った男」というタイトルの話。

第二次大戦中、オランダはドイツに占領されました。

オランダの老舗ゴルフ場ヒルバーシュムにある日、空軍少佐が訪ねてきて、プレーをさせてもらえないだろうか、と丁重にクラブ支配人に頼みます。

もちろん占領下、断るわけにはいきません。

支配人はロッカールームへ案内しようとすると、少佐は、自分は招かざる客なのでクラブハウスに入ることはできない、と固辞すると、そこまで乗ってきた軍用車に戻り、軍服を着替えてスパイクを履くと、部下をキャディに直接、グリーンに出ます。

その少佐の鮮やかなプレー、それからディポットやバンカーの始末といったマナーの良さから、クラブ会員は少しずつ少佐に対する畏敬の念を抱いていきますが、けっして少佐はクラブハウス内に入ろうとはしませんでした。

ある日、ドイツ軍の兵士が大挙してゴルフ場に押し寄せ、コース内の樹木にペンキでマークをつけていきます。

驚く支配人に、ドイツ兵はバリケード作成のために伐採することを告げます。

支配人は深く失望しますが、例によって訪れた少佐がそのペンキのマークを見ると、その日はプレーせずに帰り、翌日、プラカードを掲げてクラブに訪れます。

そして支配人に「少し目障りですが、看板を立てさせてください」というと、ペンキのついた樹木に看板を立て始めました。

その看板には「警告!伐採禁止!ゲシュタポ指令本部」と書かれていました。

感激した支配人は少佐を「臨時のメンバー」と認める旨を少佐に伝え、少佐は目に涙を溜めて喜んだ、といいます。

しかし、その日を最後に、少佐がクラブを訪れることはありませんでした。

戦争終了後、クラブは少佐の行方を探したそうですが、結果には触れられていません。

最後に1944年、クラブ史の1ページにある記述を紹介しているだけです。

そこには、こう書かれていました。

「樹木伐採の危機に瀕するも、1人の勇気あるドイツ軍将校の助力によって破壊から免れた。彼はヒルバーシュムを救い、オランダを救い、そして偉大なるゴルフを救った」と。

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