濡れネズミたちの栄誉を描いた1作

濡れネズミたちの栄誉を描いた1作

濡れネズミたちの栄誉を描いた1作

ゴルフ・エッセイストだった夏坂健さんは、膨大な資料から洒脱な文章を紡ぎだす名人として知られていますが、ご自身もシングル・プレイヤーだったことから、自分自身のゴルフ体験談もエッセイにまとめています。

そんな体験談を多く収めているのが「ゴルフの神様」で、第1章(本文では1番ホールと記載)の「友情が満開!」のなかに書かれた「濡れネズミの勇者たち」には、夏坂さんのゴルファーに対する真摯な視点が描かれています。

夏坂さんは毎年、初夏になると世界中からゴルフのトップジャーナリストがフランスに集まる通称「ゴルフサミット」にアジア人として唯一招かれていました。

このサミット、正式にはフランス観光局が主催する「国際ゴルフジャーナリスト・トロフィー」というコンペティションなのですが、ある年、最終日が豪雨となり、立っているのもやっと、という状況になって前半9ホールを終えたそうです。

ヨーロッパの場合、日本のように9ホールで休むことがないので、果たして豪雨で続けるのか悩んでいたところ、前から続々とカートがUターンしてきたのを確認し、夏坂さんはてっきり豪雨のあまり、中止になったものだ、と勘違いしてしまいました。

ところがクラブハウスに戻って、他のジャーナリストに確認すると誰も中止という発表は聞いておらず、雨がひどくて棄権しただけ、だと言います。

それを聞いて、夏坂さんはひどく後悔します。

それまで一度スタートしたら中止命令が出ない限り、自分から棄権したことがなかっただけに、前の組たちが戻ってきたことを中止と判断した自分を悔やみますが、その時、1組だけがプレーを続行していることが分かります。

夏坂さんは慌てて18番ホールに向かうと、雨が上がった中、第1組目でスタートした3人が、まるでボロ雑巾のようにずぶ濡れの格好で上がってくるのが見えます。

しかし、その姿とは裏腹に、夏坂さんの目に誇らしげに映り、惜しみない拍手を送りつつも、夏坂さんはその場にいなかったことが、泣きたいほど惨めだった、と語ります。

もちろん雷が鳴るほどの豪雨は続行することじたい危険ですが、多少の雨でキャンセルするご同輩が多いことを考えると、心のなかに留めておきたい一節ですね。

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